質疑応答

Q.これからの農業を考える上で、ニーンさんご自身が日本の学生に求めることはありますか?

A.次の4つを提案します。

・環境に配慮した農業について、できるだけ多くのことを学ぶ

・現在の社会の構造やそのからくりが、どのような考え方に基づくものなのか理解  する

・さまざまな反対運動についての知識を深める

・持続可能な未来のためにできることを常に考え、地域に根差した食や農業を選び  取っていく

 

Q.これまで、交渉の席についた後に離脱した国はあるのでしょうか?

A.まだありません。

 

Q.日本がどうやったらTPP不参加にできるのか?市民からできることはあるのでしょうか?

A.反対の声を上げること、マスコミや政治家に手紙を書くこと、署名活動に参加すること、そしてTPPに反対している他国の団体と協力して道を探すことです。

 

Q.アメリカ国内でのTPPの世論がどうなのか知りたい

A.アメリカ国内にはTPPについての情報がほとんどなく、ニュースでも取り上げられません。貿易交渉が行われていることなど、国民の大半は知らないのです。

 

Q.CSAが日本で広がっていかないのはどうしてだと思われますか?

A.さまざまな理由が考えられます。まず、農家への助成金は、農場の規模拡大化と栽培作物の画一化を奨励するために交付されるものであることが一つの要因です。また、小規模で多様な作物を栽培する農業は時代に逆行しているというイメージのもと、地域社会からの圧力によって、CSAへの転換がはかりにくいことも理由として挙げられます。グローバリゼーションや地域貿易協定への抵抗手段となるのは、生産者と消費者の提携やCSAのような地域に根差した食のシステムである、ということがなかなか理解されないのです。

 

Q.日本が仮にTPPに参加した場合、様々な分野、業界に影響を受けることが危惧されていますが、農業者に対して政府は具体的にどのような対応を取るべきでしょうか(金銭の保障以外)?具体的な方策を教えて下さい。

A.TPPにおいては、外国籍の法人や個人であっても、 誰もが日本国内で平等に扱われることが保障されるため、日本政府が自国の農家を優遇的に守るような対策を取ることは出来ません。私たちにできることは、TPPの枠組みに取り込まれず、地域食糧システム、種子の自家採取や栄養循環などの仕組みを自分たちで作り上げていくよう、農家や市民を説得しつづけることです。作物の栽培は公益的なものであり、私益化は許されるべきものでありません。種子を含む「いのち」に対して企業が取得した特許権を無効にするよう主張することも、有効な手だてになるでしょう。私たち自身の地域食糧システム、種子の自家採取や栄養循環の仕組みを確立すれば、国内外の企業による支配に屈する危険を減らせます。また、これらは北海道の農業にたいへん良い影響をもたらすものとなり得るのです。

 

Q.公正や安全などが、なぜTPP政府間の議論から置いてきぼりにされているのでしょうか?

A.各国政府は「企業にとって良いことは国にとっても良いことである」と信じているからです。企業は、「自由貿易」の名のもとに、地球規模で競争しなくてはならず、どこで生産し販売するかは、利益重視で決定します。海外で低コスト生産した製品を、日本国内で貿易の規制なしに販売できるとしたら、日本の企業も、十中八九、安い人件費とインフラコストを求めて海外に進出していくでしょう。TPPは、他の貿易協定と同様、公正や安全より利益を優先します。「市場」が、物事の価値観、つまり何が重視されるべきかを決めているのです。

 

Q.アメリカのためのTPPと受け取りましたが、ではなぜ日本の経済界は賛成するのでしょうか?日本の経済にも良いことはなさそうですが。

A.高齢化や人口減少問題に直面している日本の経済成長の見通しは暗いものと言えます。日本の財閥にとって地域協定は、アジア諸国の市場に生活必需品を供給するためには都合の良いものです。また日本企業は海外で生産し、非課税で日本市場にそれらを輸入販売することができるのです。これは企業には有利なことであっても、日本経済には害となるでしょう。

 

Q.日本に対する懸念は、他のアメリカ以外の参加国にも当てはまるのでしょうか?

A.医薬品価格の上昇、セーフティネット崩壊の危険、またバイオテクノロジーや種子に関する貿易ルールの統一化などを懸念する国は多くありますが、参加国全体が危惧しているとは言えません。参加国の中には日本のような国民保険制度を有していない国もあるからです。

 

Q.アメリカをはじめ他の国の中にも他国の事を考えてくれて、ニーン夫妻のようにご活躍されている方や団体があるのでしょうか?

A.あります。市場偏重の政治経済を推し進め、主権国家が法の制定や国民の命にかかわる決定を行う事に制限をつけたり邪魔をしたりする企業を、白日の下にさらそうと活動している市民組織や民間団体がありますので、http://www.etcgroup.orgを参考にしてください。

 

Q.TPPの中で安全性(食物)の基準が最低レベルに引き下げられるということなのか?企業活動はどの国にも参入しやすくなることには賛成したいが、その前提には国民の健康・安全が最優先されることが根底になければならない。そのような企業を国民が選択していくことは出来ないのでしょうか?企業情報をもっと公表してはいけないのでしょうか?

A.食品安全基準は、大量の穀物や油糧種子が国境を超えて往来しやすいように統一化されることになります。穀物会社は、食品安全や遺伝子組み換え食品に関するやっかいな各国の基準が廃止されることを望んでいるのです。そういう企業にとっては、人々の健康や国の主権を尊重することより、利益を得ることが最も大切なことなのです。

 

Q.地域密着型の伝統的な農業を支援するために、私たち市民としてまず始められることは何でしょうか?

A.まず、地域密着型の農業を押し進めていくための組織をつくる必要があります。そして市民がそのような組織を強力に後押しするのです。ただ手をこまねいていても、現在の経済システムおいては、既得権を持つものが自分たちのやりたい方法で好きなようにやっていくだけで、何も良い変化は訪れません。

 

Q.カナダやアメリカではTPPについて国民は知らされているのでしょうか?

A.カナダ国内では、アメリカよりはTPPへの理解の水準は高いようです。アメリカではTPPがニュースになることはほとんどありません。

 

Q.TPPが締結されたとしたら、既に締結されている2国間FTAの効果はどのようになりますか?

A.TPPは、過去のどの協定よりも優先されることになるでしょう。